流行した・売れ続けるには訳がある⁉食品メーカーの戦略をご紹介

マーケティングの身近な事例や有名なヒット商品などそれぞれの成功の背景にある戦略や工夫を知ることは、どのようにマーケティング戦略を実行していくのかを考える上で参考になります。平成~令和にかけて沢山売れたもの、人気があった商品のマーケティング戦略やコンセプト設計などを参考にすると良いかもしれません。
「マーケティング」でよく取り上げられている成功事例としてヒット商品をいくつか挙げると、日清食品「どん兵衛」、サントリーの缶コーヒー「BOSS」、江崎グリコ「ポッキー」などがあります。
これらは、Webサイトや本などにも頻繁に取り上げられていると思いますので、『インカレ+』がご紹介する『マーケティング戦略やコンセプトづくりの参考例|流行ったものが売れた理由』では、Webサイトや本などには載っていなさそうな事例を、独自の観点でご紹介していきます。
マーケティングの基本概念やフレームワークなどを学ぶことはもちろん大切ですが、楽しくマーケティングを学ぶことも重要かと思いますので、気軽に読んで下さい。
平成~令和にかけて過去流行したものや、日経商品ヒット番付などの取り上げられていないようなものなどもご紹介できるかもしれません!
各回3~5つ程度、商品が流行した理由や成功の要因をご紹介していきます!
ここで述べている内容は、あくまで個人の視点や考えに基づいたものです。一般的な意見とは少し違う部分もあるかもしれませんが、一つの参考としてご覧いただければ嬉しいです。マーケティングリサーチ観点からの考察が中心です!
ペヤング|まるか食品株式会社
ペヤングやきそば、みなさんも一度は食べたことあるのではないでしょうか?
でも、素朴なのに、なぜペヤングはずっと売れ続けているんでしょうか。そこには巧みな戦略が隠されています。
画像のように、変わり種ペヤングがよく出てますよね、これこそまさにソレなんです。

まるか食品さんのHPもぜひご覧ください。パッケージのデザインを見ているだけで楽しいですよ♪
https://www.peyoung.co.jp/products/
ペヤングの奇抜フレーバー戦略の意図と構造
✅低コストでの高インパクト広告(バズマーケティング)
・話題性のある“攻めた味”は、SNSやYouTubeでのレビュー、ネタ投稿の題材になりやすく、広告費ゼロでも注目を集める。
・いわば、「試される広告」。メディアが自発的に取り上げ、消費者がコンテンツ化して拡散する。
※製造コストはかかるが、少なからず売れはするので広告費を差し引けばプラスになる計算。
例えば:10万個販売
・製造コスト:80円/個
・卸価格(メーカー取り分):100円/個
・販売数:10万個
・粗利の計算(100円 − 80円)× 100,000個 = 200万円の利益
・広告換算効果
SNSやメディアで話題になり、1000万円相当の広告露出(TVやWeb広告と同等)
→少量でも黒字になる商品を広告代わりに出し続ける。
製造原価がかかっても、「200万円の実益」+「1,000万円分の広告効果」=十分ペイする戦略。
つまり、「売れるネタ商品」=「儲かる広告塔」として機能している。
✅定番商品のリマインダー効果
・奇抜フレーバーを通じて「やっぱり定番が落ち着く」と再認識させ、既存商品への再評価と購買促進を図る。
・この構造は「ツッコミどころのある新商品が、定番商品の強みを浮き彫りにする」仕掛け。
✅ブランドの“生きてる感”の演出
・継続的に新味を出すことで、「動き続けているブランド」「挑戦し続けるブランド」という活性印象の維持に貢献。
・変化のない定番品でも、“ブランドが飽きられない”ための装置として機能している。
✅両利きの経営”への応用
・一見遊びのような新商品開発が、実は「攻め(探索)」と「守り(深化)」の両立になっている。
・新商品の失敗リスクは高いが、バズやブランド印象改善という“副次的効果”で十分にペイ。
✅ まとめ
ペヤングの奇抜商品は、「売るための味」ではなく、「語らせるための味」と言えます。
それによって得られるのは、
・無料の広告効果
・定番商品のリピート強化
・ブランド想起の維持
・変わり続けるブランドのイメージ醸成
…といった複数の価値。まさに「ややふざけている?ように見えますが、極めて計算された施策」になっているはず。
すごいですね、まるか食品さん!
きのこの山・たけのこの里|株式会社明治

みなさんはどっち派ですか?
少なくとも一回は、「どっち派?」という会話をしたことがあるんじゃないでしょうか。
このどっち派論争は、秀逸に仕組まれた戦略なんですね。
【1】自社内競合戦略(カニバリゼーションの活用)
両商品を競合させることで、消費者の関心を引きつけ、売上の拡大を図っています。
この戦略により、ブランド全体の活性化が促進されています。
【2】消費者参加型プロモーション
「国民総選挙」や「国民大調査」など、消費者が参加できるキャンペーンを通じて、ブランドへの愛着を深めています。これにより、SNSでの話題性も高まりました。
これは、『どっち派?』というファンの自発的な会話を継続的に増やすことを狙いとしています。
普段食べてない人でもこの論争があることで定期的に思い出してもらうことも狙いのひとつ。
売上は断然「たけのこの里」が高いそうですが、「きのこの山」をなくさないのは、「たけのこの里」の売上を伸ばすための女房役として機能しているからだそうです。確かに、店頭で「たけのこの里」だけ置いているお店はほぼ見ないですよね。
SNSを活用して成功した先駆者といえるんじゃないでしょうかね。
ちなみに、「きのこの山」の立体形状が商標登録され、「たけのこの里」は立体商標として登録されています。
明治さんのHPもぜひご覧ください。色々な角度で「どっち派」を盛り上げています♪
きのこの山・たけのこの里|株式会社 明治
シャウエッセン|日本ハム株式会社

シャウエッセンは40周年を迎えたようです。
シャウエッセンの何が凄いのか、ブランディング・マーケティング戦略を紐解いていきます。
✅掟を定義していることが◎
・パリッ音×羊腸×粗挽き100 %ポークという三位一体の体験価値は発売以来いじらない。
・「味を変えない・切らない・焼かない・レンジしない」という“掟”でプロダクトを護持し、消費者の期待値を裏切らない。
掟が定義されているからこそ、掟破りが話題となりニュースになる⁉
✅5Pで守ってきたこと、変えてきたことを簡単に整理
守る (Resilient) | 変える (Responsive) | |
Product | パリッ音・味設計 | フレーバー・形状・調理法 |
Package | シャウエッセンロゴ | 断裂式で形状刷新・エコ化 |
Price | 高価格帯プレミアム | 大容量・常温派でバリュー提案 |
Place | 主チャネル=スーパー | 飲食店・海外・ECへ拡張 |
Promotion | TV CM (熟年層) | SNS UGC・参加型プロジェクト |
ナンバーワンにはナンバーワンたる所以が、ロングセラーにはロングセラーたる所以があります。
絶え間ない微々たる変化を続けてきたからこそ、誰もが知る特別なウィンナーブランドになっています。
日本ハムさんのHPもぜひご覧ください。単純においしそう♪というのもありますが、トピックスの部分はマーケティングの勉強になるのでは⁉
シャウエッセン|日本ハム株式会社
最後までお読み頂き、ありがとございました。最後に、筆者が所属しているマーケティングサークルについて少し宣伝させて下さい。
知らないと損?無料でマーケティングについて学べるサークル

今回のテーマとは若干内容がそれますが、マーケティングに興味がある全国の学生向けのご案内です。
当記事も、マーケティングサークルの運営事務局で執筆していますが、メディアやSNSの運用を通してPDCAを回す経験やマーケティング系イベント・勉強会に参加することは、単純に学びがありますし、就活でも役に立つはずです。(今回の記事のような事例も多数教えてもらえてとても勉強になるんです♪)
各大学でもマーケティング関連のサークルは多数存在しますが、他大学でマーケティングに興味がある人達とつくる場も面白いし、学びが沢山ありますよ。
インカレ+では、気軽に参加できるゲストユーザからガッツリとマーケティングを学べる運営メンバーまで幅広く募集しています。インカレ+に参加して、マーケッターへの第一歩を一緒に歩みませんか!
最後までお読みいただきありがとうございました。